就労継続支援B型事業所を運営していると、利用者さまやご家族から、
「将来的には一般企業で働けるようになるでしょうか」
「B型を利用しながら、就職を目指すことはできますか」
「就労移行支援に移った方がよいのでしょうか」
といったご相談を受けることがあるのではないでしょうか。
就労継続支援B型は、一般就労が直ちには難しい方に対して、生産活動等の機会を提供し、就労に必要な知識や能力の向上を図るサービスです。
一方で、B型の利用者さまの中にも、通所が安定し、作業能力や生活リズムが整ってくることで、一般企業への就職を目指せるようになる方がいらっしゃいます。
実際に、就労継続支援B型にも「就労移行支援体制加算」があり、B型から一般企業への就職は制度上も想定されています。
では、B型事業所があえて就労移行支援を併設するメリットはあるのでしょうか。
就労継続支援B型事業所が就労移行支援の併設を検討する際のポイントについて解説します。
就労継続支援B型は、一般就労が直ちには難しい方に対して、生産活動やその他の活動機会を提供するサービスです。
利用者さまにとっては、まずは安心して通える場所があること、無理のない範囲で作業に参加できること、生活リズムを整えることが大切です。
その積み重ねの中で、作業能力や対人関係、体調管理、通所の安定性が高まり、一般就労を目指せるようになる方もいます。
この場合の就職は、B型支援の延長線上にある成果といえます。
これに対して、就労移行支援は、一般企業への就職を希望し、通常の事業所に雇用されることが可能と見込まれる方を対象とするサービスです。
支援内容も、一般就労を見据えたものになります。
たとえば、職業訓練、職場体験、求職活動支援、面接練習、履歴書作成、企業開拓、職場実習、就職後の相談支援などです。
B型が「働くための基礎を整える場」としての性格を持つのに対し、就労移行支援は「一般就労に向けて具体的に進んでいく場」といえます。
では、すでにB型で一般就労への支援をしている事業所が、就労移行支援を併設するメリットはどこにあるのでしょうか。
B型を利用している方の中には、利用開始時点では一般就労が難しかったものの、支援を受ける中で就職への意欲や力が高まってくる方がいます。
そのようなとき、同じ法人や同じ建物内に就労移行支援があれば、慣れた環境の中で次のステップに進みやすくなります。
外部の就労移行支援事業所に移る場合、場所、人間関係、通所経路、支援者が大きく変わるため、利用者さまにとって心理的な負担になることがあります。
併設であれば、見学、体験、段階的な移行がしやすく、本人の不安を軽減しながら一般就労への準備を進めることができます。
B型の中で就職支援を行うことは可能ですが、B型の主な役割は、生産活動の機会の提供や工賃向上、就労に必要な知識・能力の向上です。
一方、就労移行支援は、一般就労を目指すための訓練や求職活動支援が中心です。
両方のサービスを併設することで、
「まずはB型で通所や作業を安定させる」
「就職への意欲や準備性が高まったら就労移行支援で具体的な就職活動を行う」
というように、利用者の状態に応じた支援の段階分けがしやすくなります。
B型単独の場合、利用者の健康状態などが改善し一般就労を目指せる段階になったときに、外部の就労移行支援やハローワーク、就業・生活支援センター等との連携が必要になります。
もちろん外部連携は重要ですが、就労移行支援を併設していれば、事業所内でより一貫した支援を提供できます。
利用者さまの特性やこれまでの支援経過を把握している職員が関わることで、本人に合った職場探しや実習先の選定、面接支援、就職後のフォローにつなげやすくなります。
就労継続支援B型と就労移行支援を併設している事業所は、相談支援専門員や関係機関に対して、
「まずはB型で安定した通所を目指し、将来的には就労移行支援で一般就労を目指す」
という支援の流れを提案しやすくなります。
利用者さまやご家族にとっても、将来の選択肢が見えやすくなります。
特に、若年層、精神障害のある方、発達障害のある方など、状態に波がありながらも将来的に一般就労を目指したい方にとっては、B型と就労移行支援の両方があることは安心材料になる場合があります。
就労継続支援B型と就労移行支援は、多機能型事業所として一体的に運営することが可能です。
多機能型事業所では、サービス提供に支障がない範囲で、設備を兼用できる場合があります。
たとえば、相談室、多目的室、洗面所、便所などについて、基準上問題がない範囲で共用を検討できるます。
ただし、兼用できるかどうかは、建物の状況、利用定員、支援内容、自治体の取扱いによって確認が必要です。
就労移行支援を併設することにはメリットがありますが、すべてのB型事業所に向いているわけではありません。
特に注意したいのは、就労移行支援は一般就労への実績が重要になるという点です。
就労移行支援の報酬は、就労定着者の割合などが評価に関わります。
そのため、単に「B型に就職希望の利用者が少しいるから」という理由だけで就労移行支援を併設すると、定員の確保や就職実績づくりに苦労する可能性があります。
併設を検討する際には、次のような点を確認しておくことが大切です。
まず、現在のB型利用者の中に、一般就労を目指せる方がどの程度いるか。
次に、地域に就労移行支援のニーズがあるか。
さらに、企業開拓、職場実習、面接同行、定着支援などを行える職員体制があるか。
また、B型と就労移行支援の訓練内容や支援内容を明確に分けられるかも重要です。
B型と就労移行支援を併設する場合、それぞれのサービスの目的があいまいにならないようにする必要があります。
次のようなB型事業所は、就労移行支援の併設を検討する価値があります。
利用者さまの中に、将来的に一般就労を目指せる方が一定数いる。
すでにB型から一般企業への就職実績がある。
作業内容が、一般就労に向けた訓練に発展させやすい。
職員に就労支援や企業対応の経験がある。
地域に就労移行支援が少ない、または既存の就労移行支援では対応しきれていないニーズがある。
相談支援専門員や関係機関から、一般就労に向けた支援先として期待されている。
このような場合には、B型に就労移行支援を併設することで、利用者さまの支援の幅が広がり、事業所としても地域での役割を高めることができます。
一方で、次のような場合には慎重な検討が必要です。
B型利用者の多くが、長期的・安定的な日中活動を必要としている。
一般就労を希望する利用者が少ない。
企業開拓や職場実習を行う体制が整っていない。
就労移行支援の定員を安定して満たす見込みがない。
B型と就労移行支援の支援内容を明確に分けることが難しい。
このような場合には、無理に就労移行支援を併設するよりも、まずはB型の中で就職支援の体制を整え、外部の就労移行支援事業所や就業・生活支援センター等との連携を強化する方がよい場合もあります。
代表の松下愛です。
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就労移行支援からの就職は、一般就労を目的とした訓練や求職活動支援の結果として就職に至るものです。
B型事業所が就労移行支援を併設することで、利用者さまにとっては、慣れた環境の中で一般就労に向けたステップアップがしやすくなります。
事業者さまにとっても、支援の幅が広がり、地域のニーズに応じたサービス提供がしやすくなるというメリットがあります。
就労継続支援B型に就労移行支援の併設をご検討の事業者さまは、どうぞお気軽にご相談ください。
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