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障害福祉事業所の処遇改善加算とは?
要件と注意点を行政書士が解説

障害福祉事業所の処遇改善加算

処遇改善加算は、障害福祉事業所で働く職員の賃金改善を目的として創設されましたが、度重なる改正により他に類をみないほど算定要件が複雑な手続きとなっております。

こちらのページでは複雑な処遇改善加算の概要について専門の行政書士が分かりやすく解説します。

処遇改善加算とは?

処遇改善加算とは

処遇改善加算は、度重なる改正により複雑化したために、令和6年6月の改正で「処遇改善加算の一本化」という大きな改正が行われました。

ここでは適切にご理解いただくため、まずは一本化前の令和6年5月までの旧処遇改善加算等について概要を説明し、それから新処遇改善加算について解説します。

令和6年5月までの処遇改善加算等について

令和6年までの旧処遇改善加算等では、以下の3種類の加算がありました。

順番に説明していきます。

1.処遇改善加算

2.特定処遇改善加算

3.ベースアップ等支援加算

1.処遇改善加算

処遇改善加算は、すべての処遇改善加算等の基礎となる加算です。

福祉・介護職員を対象とし、Ⅰ~Ⅲの3段階に加算区分が分かれております。

算定要件は大きく分けて次の3つのカテゴリからなります。

①共通要件

②キャリアパス要件

③職場環境等要件

①共通要件

共通要件は、処遇改善加算のⅠ~Ⅲ各区分のすべてに共通する要件となります。

⑴ 処遇改善加算計画書の作成、周知、届出および実行

⑵ 毎年度における実績報告書の提出

⑶ 労働に関する諸法令の遵守と労働保険料の納付

②キャリアパス要件

キャリアパスとは、ある職位や職務に就任するために必要な業務経験や順序、異動ルートのことです。

つまり、事業所で働く職員が、自分はどのような職位や職務にあり、またどうすれば望む職位や職務に就けるのかが明確に分かる制度がどの程度整っているかを計るのが、キャリアパス要件となります。

以下の3項目が設けられております。

Ⅰ 職位・職責・職務内容等に応じた任用要件と賃金体系を整備すること

Ⅱ 資質向上のための計画を策定して研修の実施又は研修の機会を確保すること

Ⅲ 経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み又は一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みを設けること

上記の3項目のキャリアパス要件うちどれを満たしているかによって、処遇改善加算Ⅰ~Ⅲの区分が決まります。

加算Ⅰ:キャリアパス要件ⅠⅡⅢと職場環境等要件を満たす

加算Ⅱ:キャリアパス要件ⅠⅡと職場環境等要件を満たす

加算Ⅲ:キャリアパス要件Ⅰと職場環境等要件を満たす

③職場環境等要件

職場環境等要件とは、「賃金改善以外の方法による職場環境等の改善」を行うことです。

以下の6つの区分があり、1つの区分を選択し、その区分の中から1つ以上の取組みを実施すれば要件を満たすことになります。

区分

  具体的内容

入職促進に向けた取組

法人や事業所の経営理念やケア方針・人材育成方針、その実現のための施策・仕組みなどの明確化
事業者の共同による採用・人事ローテーション・研修のための制度構築
他産業からの転職者、主婦層、中高年齢者等、経験者・有資格者等にこだわらない幅広い採用の仕組みの構築
職業体験の受入れや地域行事への参加や主催等による職業魅力度向上の取組の実施
資質の向上やキャリアアップに向けた支援 働きながら介護福祉士取得を目指す者に対する実務者研修受講支援や、より専門性の高い介護技術を取得しようとする者に対する喀痰吸引、認知症ケア、サービス提供責任者研修、中堅職員に対するマネジメント研修の受講支援等
研修の受講やキャリア段位制度と人事考課との連動
エルダー・メンター(仕事やメンタル面のサポート等をする担当者)制度等導入
上位者・担当者等によるキャリア面談など、キャリアアップ等に関する定期的な相談の機会の確保
両立支援・多様な働き方の推進 子育てや家族等の介護等と仕事の両立を目指す者のための休業制度等の充実、事業所内託児施設の整備
職員の事情等の状況に応じた勤務シフトや短時間正規職員制度の導入、職員の希望に即した非正規職員から正規職員への転換の制度等の整備
有給休暇が取得しやすい環境の整備
業務や福利厚生制度、メンタルヘルス等の職員相談窓口の設置等相談体制の充実
腰痛を含む心身の健康管理 介護職員の身体の負担軽減のための介護技術の修得支援、介護ロボットやリフト等の介護機器等導入及び研修等による腰痛対策の実施
短時間勤務労働者等も受診可能な健康診断・ストレスチェックや、従業員のための休憩室の設置等健康管理対策の実施
雇用管理改善のための管理者に対する研修等の実施
事故・トラブルへの対応マニュアル等の作成等の体制の整備
生産性向上のための業務改善の取組 タブレット端末やインカム等のICT活用や見守り機器等の介護ロボットやセンサー等の導入による業務量の縮減
高齢者の活躍(居室やフロア等の掃除、食事の配膳・下膳などのほか、経理や労務、広報なども含めた介護業務以外の業務の提供)等による役割分担の明確化
5S活動(業務管理の手法の1つ。整理・整頓・清掃・清潔・躾の頭文字をとったもの)等の実践による職場環境の整備
業務手順書の作成や、記録・報告様式の工夫等による情報共有や作業負担の軽減
やりがい・働きがいの情勢 ミーティング等による職場内コミュニケーションの円滑化による個々の介護職員の気づきを踏まえた勤務環境やケア内容の改善
地域包括ケアの一員としてのモチベーション向上に資する、地域の児童・生徒や住民との交流の実施
利用者本位のケア方針など介護保険や法人の理念等を定期的に学ぶ機会の提供
ケアの好事例や、利用者やその家族からの謝意等の情報を共有する機会の提供

2.特定処遇改善加算

特定処遇改善加算は、事業所の中核人材、たとえばサービス管理責任者や児童発達支援管理責任者などを対象とした加算です。

Ⅰ~Ⅱの加算区分があり、Ⅰの方が加算率が高いです。

特定処遇改善加算の要件は以下の4種類です。

⑴ 配置等要件

福祉専門職員配置等加算の算定により充足します。配置等要件を充たす事業所は区分Ⅰ、それ以外の事業所は区分Ⅱとなります。

⑵ 現行加算要件

現行の処遇改善加算のⅠ~Ⅲのいずれかを算定していれば充足します。

⑶ 職場環境等要件

職場環境等要件の6つの区分のうち3つを選択し、それぞれの区分で1つ以上の取組を実施することで充足します。

⑷ 見える化要件

職場環境等要件の取組を「障害福祉サービス等情報検索サイト」へ公表したり、自社ホームページに掲載するなどして公表することで充足します。

特定処遇改善加算では上記の要件を充たすことに加え、配分には下記のルールがあります。

① 事業所の全職員をA、B、Cの3つのグループに分ける

A:経験・技能のある障害福祉人材
B:Aに該当しない障害福祉人材
C:事務員や調理員など上記以外の職員

② A、B、C3つのグループに配分する金額を下記の基準に従い設定する。

・Aの平均配分額はBよりも多く、Bの平均配分額はCの2倍以上とすること
・Aのうち1人以上は、月額平均8万円以上の賃金改善または年額440万円を超える賃金水準への改善が必要

3.ベースアップ等支援加算

ベースアップ等支援加算は事業所の全ての職員が対象となる加算です。

事業所の実情に応じて福祉・介護職員以外の人材についても柔軟に配分を行うことができます。

算定要件は次の3つです。

①処遇改善加算Ⅰ~Ⅲのいずれかを算定していること

②受給した総額よりも多い金額を、福祉・介護職員等の賃金額に充てること

②受給した総額のうち3分の2以上は福祉・介護職員等のベースアップ等に充てること

令和6年6月以降の処遇改善加算について

令和6年6月以降は、従来の処遇改善加算、特定処遇改善加算、ベースアップ等支援加算の各加算・各区分の要件および加算率を組み合わせた4段階の「福祉・介護職員等処遇改善加算」に一本化されました。

ⅠからⅣまでの段階のうち、番号が若い方が加算率が上となります。

処遇改善加算の資料

厚生労働省資料より

1.処遇改善加算Ⅳの要件

新処遇改善加算Ⅳは、従来のキャリアパス要件ⅠおよびⅡに、改定されたベースアップ等支援加算(月額改善要件)および職場環境等要件を組み合わせたものになります。

月額改善要件では、新加算Ⅳ相当分として受給した金額の2分の1を基本給などの月額賃金に充てることが求められております。

また職場環境要件については、実施する項目が大幅に増加しました(但し令和7年度から)。

・キャリアパス要件Ⅰ

・キャリアパス要件Ⅱ

・月額改善要件Ⅰ

・職場環境要件6つの区分のうちそれぞれ1つ以上(「生産性向上」区分は2つ以上) 

2.処遇改善加算Ⅲの要件

新処遇改善加算Ⅲの要件は、上記の新処遇改善加算Ⅳに、従来のキャリアパス要件Ⅲを加えたものです。

つまり、経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み又は一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みを設けることが要件として加わります。

・キャリアパス要件Ⅰ

・キャリアパス要件Ⅱ

キャリアパス要件Ⅲ

・月額改善要件Ⅰ

・職場環境要件6つの区分のうちそれぞれ1つ以上(「生産性向上」区分は2つ以上) 

3.処遇改善加算Ⅱの要件

新処遇改善加算Ⅱの要件は、上記の新処遇改善加算Ⅲに、従来の特定処遇改善加算Ⅱの要件(キャリアパス要件Ⅳ)を加えたものといえます。

つまり、改善後の賃金年額が440万円以上の者が1人以上いることが要件となります。

なお、このキャリアパス要件Ⅳは、小規模事業者等で加算額全体が少額である場合などは免除されます。

 

・キャリアパス要件Ⅰ

・キャリアパス要件Ⅱ

・キャリアパス要件Ⅲ

キャリアパス要件Ⅳ(改善後賃金額)

・月額改善要件Ⅰ

・職場環境要件6つの区分のうちそれぞれ1つ以上(「生産性向上」区分は2つ以上) 

4.処遇改善加算Ⅰの要件

新処遇改善加算Ⅰの要件は、上記の新処遇改善加算Ⅱに、従来の特定処遇改善加算Ⅰの要件(キャリアパス要件Ⅴ)を加えたものといえます。

つまり、福祉専門職員配置等加算を算定していることが要件となります。

・キャリアパス要件Ⅰ

・キャリアパス要件Ⅱ

・キャリアパス要件Ⅲ

・経験・技能のある障害福祉人材のうち1人以上は、改善後賃金額が年額440万円以上

キャリアパス要件Ⅴ(福祉専門職員の配置)

・月額改善要件Ⅰ

・職場環境要件6つの区分のうちそれぞれ1つ以上(「生産性向上」区分は2つ以上) 

処遇改善加算の注意点

処遇改善加算の分配にはいくつか注意点がありますので、これから取得される方はご留意ください。

またすでに職員配置等加算を算定している方も、改めてご確認いただけますと幸いです。

支給された加算額を超える賃金改善が必要

処遇改善加算の分配にはいくつか注意点がありますので、これから取得される方はご留意ください。

またすでに職員配置等加算を算定している方も、改めてご確認いただけますと幸いです。

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