施設外就労とは、就労継続支援A型・B型などの事業所において、事業所の施設外にある企業・団体等の場所で、利用者が作業を行う形態のことです。
利用者にも事業者にもメリットの大きい施設外就労ですが、要件が細かく決まっております。専門行政書士が解説します。
定義 | 事業所外の企業・団体等の場所で作業を行うこと |
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契約形態 | 原則「請負契約」:施設が業務を受託し、利用者が作業 |
対象事業 | 就労継続支援A型・B型、移行支援 |
目的 | 一般就労移行・社会参加・工賃向上など |
施設外就労は、単なる就労の場の拡大ではなく、利用者の社会的・職業的自立を促進するための重要な支援形態として、厚生労働省の通知等でもその意義が認められています。
以下に主なメリットを、利用者目線、事業者目線でそれぞれ整理します。
1.一般就労への移行促進
「施設外就労は、一般就労に近い環境での作業機会を通じて、就労継続支援事業所から一般就労への移行を促すものとして期待されている」
(出典:厚生労働省「障害福祉サービス等報酬改定に関する検討資料(平成30年/令和3年等)」)
通常の事業所では体験できない実際の職場に近い環境で作業できる
一般就労への不安を軽減し、スムーズな移行を促進
「施設外就労により、事業所の収益構造を強化し、結果として利用者工賃の向上につながる場合がある」
請負契約による作業が安定すると、事業収入が増加
利用者の工賃・賃金へ還元されやすくなる
同じ施設内作業だけでは得られない職種・業務へのアクセス
利用者の職業的な視野を広げる機会になる
職場の同僚や他の従業員との接点により、対人関係スキルが向上
外出・通勤など生活全体の自立性も向上
項目 | 内容 |
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一般就労移行 | 実践的環境での訓練によりスムーズな就職が可能に |
工賃向上 | 収益性の高い作業により工賃アップが期待できる |
働き方の選択肢 | 様々な業種・職場を経験し、自分に合った働き方を探せる |
社会性の向上 | 地域との関わりや対人関係スキルの向上に |
事業者向け主なメリットについて解説します。
外部企業との請負契約により新たな事業収益が得られる
特に施設内設備に制限がある事業所にとって、スペースを使わず売上を伸ばせるメリットが大きい
施設外就労の導入・実施がスコア評価の対象項目の1つとなっている
スコアが上がることで、基本報酬の単位数も上昇する(スコア方式)
実施頻度や契約件数によっては、報酬上の評価加点につながる
施設外就労の受け入れ先となる企業との継続的関係性が、地域との連携強化につながる
企業からの紹介・評判が、新たな契約先の開拓にも波及
事業者にとって特にメリットの大きい「定員外カウント」ですが、認められるためには以下の条件を満たす必要がありますのでご注意ください。
要件 | 解説 |
---|---|
1. 施設外就労であることが明確である | 請負契約・現場の経営実態など、施設外就労の正式な要件を満たしていること |
2. 利用者が「毎日施設外で従事している」等の継続性があること | 短時間・単発的な外出作業ではなく、実質的に常時外部で就労している |
3. 市区町村(指定権者)に事前説明・報告していること | 特に定員超過とならないように、あらかじめ運営規程・個別支援計画等に明記しておく必要あり |
4. 帳票・記録の整備 | 出勤簿、実績記録表等で外部就労の事実が記録されていること(監査時確認対象) |
施設外就労で報酬を算定するには、以下のすべての要件を満たす必要があります。
●施設外就労先の企業とは、請負作業に関する契約を締結すること。
なお、契約締結の際には、以下のことに留意すること。
(ア)請負契約の中で、作業の完成についての財政上及び法律上のすべての責任は事
業所を運営する法人が負うものであることが明確にされていること。
(イ)施設外就労先から事業所を運営する法人に支払われる報酬は、完成された作業
の内容に応じて算定されるものであること。
(ウ)施設外就労先の企業から作業に要する機械、設備等を借り入れる場合には、賃
貸借契約又は使用賃借契約が締結されていること。また、施設外就労先の企業か
ら作業に要する材料等の供給を受ける場合には、代金の支払い等の必要な事項
について明確な定めを置くこと。
● 請け負った作業についての利用者に対する必要な指導等は事業所が行うこと。
(ア)事業所は請け負った作業を施設外就労先の企業から独立して行い、利用者に対
する指導等については事業所が自ら行うこと。
(イ)事業所が請け負った作業について、利用者と施設外就労先の企業の従業員が共
同で処理していないこと。
● 利用者と事業所との関係は、事業所の施設内で行われる作業の場合と同様であ
ること。
● 施設の運営規程に施設外就労について明記し、当該就労について規則を設ける
とともに、対象者は事前に個別支援計画に規定すること。また、訓練目標に対する
達成度の評価等を行った結果、必要と認められる場合には、施設外就労の目標その
他個別支援計画の内容の見直しを行うこと。
● 実績の報告については、報酬請求に当たり、事業所からの毎月の報告を不要とす
るが、事業所には施設外就労の実績記録書類を作成・保存し、地方公共団体の判断
で利用者の訓練状況等の実態把握が必要な場合には、事業所に確認すること。
● 施設外就労に随行する支援員の業務
施設外就労に随行する支援員は、就労先企業等の協力を得て、以下の業務を行う。
(ア)事業の対象となる障害者の作業程度、意向、能力等の状況把握
(イ)施設外就労先の企業における作業の実施に向けての調整
(ウ)作業指導等、対象者が施設外就労を行うために必要な支援
(エ)施設外就労についてのノウハウの蓄積及び提供
(オ)施設外就労先の企業や対象者の家族との連携
(カ)その他上記以外に必要な業務
●関係機関との連携
都道府県及び実施施設は、この事業の実施について、都道府県労働局、地域障
害者職業センター、公共職業安定所、委託企業等の関係機関と連携を密にし、事
業が円滑に行われるように努めるものとする。
代表の松下愛です。
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就労継続支援事業所にとって施設外就労は大きなメリットがあります。
しかし厳格な要件のもと認められるものですので、慎重に運用することが大切です。
幣事務所では事業者さまと共に考え、最適なご提案を通して安心で安定した事業所運営のお役に立つことが願いです。
施設外就労をご検討の事業所さまは、どうぞお気軽にお問合せいただけましたら幸いです。
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